突然ですが、我が子の将来に関する親の影響度合いがどれくらいかは皆さんご存知でしょうか?
なんとなく「半分くらい?」と思っている人もいるでしょうか。
実はこれについては科学的にある程度結論が出ていて、精神的な成熟に関しては次のような寄与度になっています。
親の育て方 | 遺伝 | 友人関係 | |
メンタルの弱さ | 7% | 58% | 49% |
外向性 | 2% | 58% | 48% |
男っぽさ 女っぽさ | 9% | 52% | 57% |
順応性 | 1% | 49% | 59% |
柔軟性 | 8% | 38% | 54% |
これを見ていただくとわかるように、親が直接子どもにできることは非常に少ないです。
しかし、だからといって育児をしなくていいわけではありません。
本記事をよんでいただければ、親が子に何ができるか、具体的な方法がわかりますよ。
根拠となるのはミネソタ大学の双子研究
まずは今回の解説の根拠となるミネソタ大学の双子研究をご紹介します。
こちらの原著は無償で入手することができなかったので、本記事はメンタリストDaigoさんのYouTubeや、原著をもとにした日本のレビュー文献を調査して、今回の記事を作成しました。
まずこの研究では、遺伝的に全く同じである双子だが、幼少期に別々の家庭で育った人々を調査しました。
そして、全く別の家庭で育ったのに類似した性格であれば遺伝の要素が強い、遺伝子は同じなのに家庭によって性格が変わるなら家庭環境の要素が強い…などと整理していきます。
さらにそのような人々をたくさん調査することで、別の変数である友人関係についても検証していきます。
そうやって、①遺伝②共有環境(家庭環境)③非共有環境(家庭以外の環境)の寄与度をまとめていったのが冒頭の割合となっています。
性格に及ぼす影響を深掘りしてみる
改めて、最初に提示した性格に及ぼす要素を見てみましょう。
親の育て方 | 遺伝 | 友人関係 | |
メンタルの弱さ | 7% | 58% | 49% |
外向性 | 2% | 58% | 48% |
男っぽさ 女っぽさ | 9% | 52% | 57% |
順応性 | 1% | 49% | 59% |
柔軟性 | 8% | 38% | 54% |
性格に最も影響を及ぼすのが遺伝、次が友人関係、大きく離されて家庭環境になっていますね。
今回の調査における遺伝とは

結局、優秀な親の子供は優秀ってこと?

そうとはかぎりません!
遺伝の話をすると必ず出てくるのが、優秀な親の子供は優秀、みたいな話です。
でもこれは獲得形質の遺伝といって、科学的には「あまり考えにくいよね」とされています。
実は、過去の教科書では獲得形質の遺伝は完全に否定されていましたが、2017年に京都大学が「一部の獲得形質は継承されるかも!」と提言しています。
なので完全に否定はできないものの、大多数の科学者は「親が勉強して賢くなったから、子供はそれを引き継いで賢くなるという考えは間違っている」というスタンス。
基本的には両親の遺伝子が組合わさったとき、ランダムに決定されると考えておいて良いでしょう。
ただし身長や骨格といった身体的特徴は、親の特性がかなり引き継がれます。

結論、外見にはかなり影響するけど内面はかなりランダムというのが遺伝の特性です。
なので、「性格には遺伝の影響が5割」と言われた場合、両親から組み合わされた遺伝子がランダムに発揮した特徴が、性格のうち5割くらいを占めている。と考えるようにしてください。

「ちょっと難しい」と感じた方は、「内面については『遺伝=運』だ!」と覚えておいてください。
子供に対して親ができること
子供の性格に対して親ができることは非常に限られています。
ということは、親は子供に対してなにもしなくて良いのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
子供が良好な友人関係を作る手伝いをしてあげる

遺伝はどうしようもないですが、友人関係はある程度親が整えてあげることはできます。
例えば、下記のような方法で子供の環境を良い方に後押ししてあげることができます。
- 幼少期から不良が少ない地域に住む
- 良好な友人ができるコミュニティに子供を連れていく
- 保護者で情報交換して優良な関係を築く
また、高校以降では学力と学生の節度は比例する関係にありますので、少なくとも一定以上の節度を持った学校に入れるよう、幼少期から学習機会を与えるのも重要です。
親が直接伸ばしてあげることが難しいなら、伸ばしてくれる友人が多くいる環境作りを行ってあげましょう。
トラウマを作らない
ここまでは「親の影響なんてたかが知れている」と述べてきましたが、例外的に親が強い影響を発揮するケースがあります。
それは、子供にトラウマを与えること。
例えば子供が柔軟な思考をしようとしたときに親が大声で怒鳴り、体罰を与えたりすれば、子供は柔軟に考えることに本能的な恐怖を感じることになります。
この場合は家庭の影響が10%を大きく越えることになり、具体的な値はありませんが、遺伝や友人関係を超えて支配的になると提言されています。
小学校の学業成績には家庭環境が最も強く影響する
冒頭に参考文献として挙げた論文の図を転用します。

こちらを見ると、「学業成績(日本・小学生)」小学生において、共有環境(家庭環境)の影響度が非常に高いです。

特に算数・理科といった理系科目では、家庭環境が50%以上!
つまり性格について家庭環境の寄与度が低いからと言って、子供の教育をしなくていいということにはならないのです。
まとめ 子供のために親ができること
ここまで説明したように、将来的な性格に対して親ができることは限られていて、遺伝や友人環境が大きく影響します。
一方で、小学校における成績には家庭環境が大きく影響します。
つまり、下記のような流れが期待できるのです。
結局、親は子供のためにしっかりと環境を整えられるよう努力するというのが結論になります。

保護者の皆様、しっかりとお子さんと向き合っていきましょう!
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