「文章を読んでも内容が理解できない」「読書が嫌い」――そんな子どもの悩みの裏には“読解力の低下”が潜んでいます。
読解力は学力全体の基盤であり、将来の社会的スキルにも影響する重要な力。
特にこれから来るAI時代においては、読解力こそが人間がAIに勝つための力です。

計算力などでは人間はもうAIに勝てません!
この記事では、科学的エビデンスに基づき、読解力を育てるための親の関わり方を紹介します。
読解力とは何か?|「読む力」と「理解する力」
読解力とは単に文章を読む力ではなく、文章の意味や意図を正しく理解し、応用する力を指します。
文部科学省は、読解力を「情報を取り出し、解釈し、評価する力」と定義しています(PISA調査より)。
つまり、「文字が読める」だけでは不十分。
読んだ内容を自分の中で咀嚼(そしゃく)し、使える知識にする段階までが必要です。
なぜ今、読解力が注目されているのか?
■ 日本の子どもの読解力は低下傾向
OECDが実施するPISA(学習到達度調査)2022年版では、日本の15歳の読解力スコアは2018年と比較して明確に低下しています。
スマートフォンの普及やSNS中心のコミュニケーションが主流となった影響により、長文を読まない・読めない子どもが増加しています。
読解力を伸ばす家庭での関わり方5選

科学的研究に基づく、家庭でできる実践方法を5つ紹介します!
毎日の音読と読み聞かせ
ポイント:語彙力・文構造の理解を育てる
研究:Stanovich & Cunningham(1992)によると、音読の経験が多い子どもほど語彙力が豊かで、文章理解力も高いことが分かっています。
親が読み聞かせをすることで、子どもは自然と文のリズムや構造、語彙を吸収します。
「対話型読み聞かせ」の実践
ポイント:思考力・表現力も育つ
ただ読むだけでなく、
「この登場人物はどう思っていると思う?」
「次にどうなると思う?」といった問いかけを加えることで、文章の意味を考える力が養われます。
Whitehurstら(1994)によると、「対話型読み聞かせ」は通常の読み聞かせに比べ、語彙力と理解力の向上効果が2倍近く高いという結果が得られています。
日常会話で「なぜ?どうして?」を取り入れる
ポイント:因果関係の理解力アップ
何気ない日常の中で、
「どうしてその答えにしたの?」
「なぜ○○と思うの?」といった問いを重ねることで、論理的な思考の土台が形成されます。
親子で本を選び、感想を話し合う
ポイント:主体性・メタ認知力を高める
子どもに選ばせた本を一緒に読み、読み終えたら「何が印象に残った?」「自分だったらどうする?」などの感想交換をしましょう。
これにより、自分の理解を振り返る力(メタ認知)が養われます。
読書だけでなく「要約」「言い換え」の練習をする
ポイント:情報を再構築する力を育む
「読んだ内容を一言で言うと?」「お友達に説明するとしたらどう話す?」といった問いに取り組ませることで、情報の整理力と表現力が鍛えられます。
年齢別!読解力育成のおすすめアプローチ一覧表

簡単に一覧表にしてみました!
年齢 | 推奨される取り組み | 解説 |
---|---|---|
2〜4歳 | 読み聞かせ+対話 | 絵本の内容に「問いかけ」を加える |
5〜6歳 | 自分で読む+感想共有 | 読んだあとに感想を話し合う |
小学校低学年 | 要約・言い換え練習 | 短い文で言い換える遊びを取り入れる |
小学校高学年 | 本の比較・批評 | 複数の本を比べて意見を述べる練習 |
中学生以降 | 新聞や評論文の読解 | 難易度の高い文章に挑戦し要約する |
まとめ|親の関わりが未来を変える
読解力は学校だけでなく、家庭での働きかけによって大きく伸ばすことができます。
毎日の対話・読み聞かせ・思考を促す問いかけなど、地道な積み重ねが将来の学力や表現力につながります。
科学的な研究でも裏付けられているように、親の関与は決して小さなものではありません。
ぜひ、今日からできることを1つでも取り入れて、お子さまの「読む力」を楽しく育てていきましょう。
参考図書|AI時代を生きる子どもに必要な「読解力」を学ぶ本
『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』
日本の読解力教育に衝撃を与えた一冊。
「AIに勝てる人間になるためには何が必要か?」というテーマから、読解力の低下が社会全体に与える影響を明らかにします。PISA調査やリーディングスキルテスト(RST)を通じて、今後の教育の方向性を考える手がかりになります。
『AIに負けない子どもを育てる』
AI時代に必要な力=「思考力と読解力」。読書の重要性と、親のかかわり方がわかりやすく解説されています。実用書としても読みやすく、すぐに実践できるヒントが満載です。
参考文献・出典一覧
出典名 | 内容 | リンク |
---|---|---|
OECD PISA 2022 | 日本の15歳の読解力低下に関する国際比較調査 | OECD公式サイト(英語) |
Stanovich, K. E., & Cunningham, A. E. (1992) | 音読と語彙力・文章理解の相関に関する研究 | 研究概要(ERIC) |
Whitehurst, G. J., et al. (1994) | 対話型読み聞かせの効果に関する研究 | 論文要約(National Institute for Literacy) |
文部科学省「読解力の定義と重要性」 | 日本の教育政策における読解力の定義 | 文部科学省公式資料(PDF) |
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