「ちゃんとほめているのに、子供のやる気が続かない…」
そんな悩みを持つ親は少なくありません。
実は「ほめる」こと自体ではなく、その“ほめ方”が子供の行動に大きな影響を与えることが心理学の研究で明らかになっています。
本記事では教育心理学の視点から、子供のやる気を高める「正しいほめ方」をわかりやすく解説し、具体的な実践テクニックをご紹介します。

すぐに使えるテクニックが満載です!
子供のやる気は「内発的動機づけ」がカギ
子供のやる気を引き出すには、外からのご褒美(外発的動機づけ)ではなく、自分の中から湧いてくる意欲(内発的動機づけ)を高めることが重要です。
✅ 研究データ紹介
心理学者デシとライアンの「自己決定理論(Self-Determination Theory)」によると、人は以下の3つが満たされるとやる気が高まるとされています。
要素 | 内容 |
---|---|
自律性 | 自分で選んでいるという感覚 |
有能感 | 自分はできるという実感 |
関係性 | 他者とつながっている感覚 |

つまり、ほめるときも「自分でがんばれた」「できた」と感じさせる言葉が重要なのです。
NGなほめ方・OKなほめ方の違い
「えらいね!」とつい言ってしまいがちですが、そのほめ言葉が逆効果になることも…。
❌NGなほめ方の例
ほめ言葉 | 問題点 |
---|---|
すごいね!天才だね! | 結果重視で、失敗を恐れるようになる |
早くできてえらいね | スピードばかりに注目がいく |
ママがうれしいよ | 親の満足が基準になってしまう |
✅OKなほめ方の例
ほめ言葉 | ポイント |
---|---|
最後までよくがんばったね | プロセスを評価している |
難しいところも自分で考えて解決したんだね | 有能感・自律性を刺激 |
お友達に優しくしてたね、いいね | 他者との関係性に着目 |

プロセスや努力、工夫に焦点を当てることで、子供の“学ぶ意欲”を育てられます。
科学的に実証された「効果的なほめ方」3選
① プロセス志向のほめ方
スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授による研究(2007年)では、「能力」をほめられた子よりも、「努力」をほめられた子のほうがチャレンジ精神が育つと示されています。
例:「すぐに正解できたね」→ ❌
→「わからない問題にも根気強く取り組めてえらいね」✅
② 具体的な行動を言語化してほめる
子供に「なぜほめられたのか」が伝わると、次も同じように行動しようとします。
例:「お片付けしてえらいね」より
→「おもちゃをちゃんと箱に戻せたね。自分で考えて動けて素敵だね」
③ 自分の言葉でフィードバックする
親自身の気持ちを添えると、関係性の満足度もアップします。
例:「あなたの頑張りを見て、ママも嬉しかったよ」
ほめ方を変えると、子供の行動が変わる【実例紹介】
ケース1:勉強が苦手な子
NG例:「100点取れたらご褒美あげる」→ ご褒美がないとやらなくなる
OK例:「間違えた問題に自分でチャレンジしたの、すごいね」→ 自主的に学習するように
ケース2:兄弟げんかが絶えない
NG例:「いい子にしてたらおやつあげる」→ 表面的な行動調整に終わる
OK例:「弟に優しくおもちゃを貸せたね。すてきな行動だったよ」→ 思いやりの行動が増える
今日からできる!家庭で実践できる「ほめ方チェックリスト」
質問 | チェック |
---|---|
ほめるとき、行動の「内容」に焦点を当てているか? | □ |
努力や工夫など、プロセスを評価しているか? | □ |
結果ではなく、成長に注目しているか? | □ |
ご褒美ではなく、言葉によるフィードバックが中心か? | □ |
子供が「自分の力でできた」と実感できるか? | □ |
まとめ:子供の「やる気」を引き出す親になるために
子供のやる気は、「どのようにほめられるか」によって大きく変わります。
特にプロセスを認めること、自律性を尊重すること、具体的な行動を言語化することが、子供のやる気を育むカギです。
今日から、ほめ方をちょっとだけ意識して変えてみませんか?

子供の行動が少しずつ前向きに変化していくのを、きっと実感できるはずです!
参考文献
- Deci, E.L. & Ryan, R.M. (1985). Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior.
- Dweck, C. S. (2007). Mindset: The New Psychology of Success.
- 山口裕幸(2020)『子どもが伸びる“正しいほめ方”』PHP研究所
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